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河川油流出事故事例


【 IHARA流出油との戦い 】

5.島根県企業局八戸川発電所油流出事故

平成14年1月17日

同第2発電所の発電装置に滴下する潤滑油の注油装置から、推定180リットルが同所内に漏洩し、その大半は所内にて抜き取り等回収が行われたが、その一部が八戸川に流出したとの情報により、全ての送水管を停止した。


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当ホームページを検索され、ご覧いただいた島根県企業局の方から第一報をいただき、1月22日早速現地を視察した。漏洩した油は推定180リットル、その大半が所内の拭き取り作業によって回収されていたが、一部が第1発電所に向けての圧力隧道(4km)の停滞水(約3万t)に流入しており、それを完全に除去する必要があった。また、事故後止水のため発電所の機能は完全にストップしており、一日も早い復旧が必要とされていた。

弊社の残油回収対策案は、河川への放水口である第1発電所内の放水池出口に濾過吸着装置(弊社特許)を固定設置し、さらに放水口出口オイルフェンス前面にオイルマット(吹き流し)を設置し、浮遊物はスキマー(浮遊した油を吸い取る装置)を使用し完全に回収するというものであった。
ただ、この時点で大きな問題が発生していた。通常、デモンストレーション(ミニ実験)の際、油回収を確認するため食用色素の着色料を使用し着色するが、今回漏洩した油は連鎖系タービン油であり、その着色は化学的に不可能とされていた。
その問題を解決するため染料メーカー数社とも相談し、サンプルを取り寄せ試験を行ったが、すべて不可だった。そんな中、広島大学応用分析化学教師様に石油による濃縮染料を使用する方法をご提案いただき、一気に問題は解決へと向かった。

【実際の作業風景(クリックすると拡大します)】
油濾過装置フレームの設置 デモンストレーション パティキュレート カートリッジの装着
放水池、放水出口へのオイルフェンス・吹き流しの取り付け 油濾過状況 スキマーの設置

この間、濾過吸着装置の製作は着々と進み、2月1日より設置が始まった。
2月4日関係各お役所立ち会いのもと回収のデモンストレーション(ミニ実験)を行い、その行程を確認していただいた後実作業に入る。濾過装置はカートリッジ式で2重になっており、カートリッジ部分には吸着材パティキュレイトを充填し数回にわたり入れ替え作業を行った。
回収作業は2月11日まで8日間にも及んだ。その間、水圧により濾過装置が破損するなどのトラブルに見舞われたが、2重3重の安全策が効をそうし、河川への油流出は皆無であった。補強修理を急ピッチで行い、その後順調に回収作業は進んだ。

圧力隧道(4km)内のヘドロを回収し油分が残存していないことを確認。さらに2日をおいた後、回収作業は完了した。

今回推定流出油量に対し、その対策をご指示頂いた企業局様の姿勢に感服し敬意を表します。今後他所での事故対応に大なる規範を示されたとは、社会適評価が大きいと推測します。


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