4.広島県東城町成羽川重油流出事故
平成11年3月8日
同町製粉工場よりA重油7,800L(推定)が岡山県に流れる成羽川に流出
建設省岡山工事事務所から通報を受けたのは8日午後3時頃である。ちょうど私はアメリカはシアトルで8日より始まる
International Oill Soill Conference(世界油流出会議)に参加初日のことである。
当初2日間は建設省主体の対処が行われ、事の重大性については徹底された。その後、本格的対策本部は、成羽川の主管管理者である地元県土木事務所の采配により回収業務が行われた。しかし、原因者が同じ所在地であったためか、その采配は原因者への配慮なのかあまり徹底したものとは言えなかった。
ここで問題となるのは、各人各様に異なる「危機管理意識」の問題である。処理業務は対策本部のリーダーの指示により行動し、また油処理の成否もリーダーによって決定される。回収業務を徹底すればするほど、時間と費用はかさむ。その費用と労力を惜しんで下流に流してしまえば、その場はしのげるのである。
しかし、回収が不十分であれば、人間生活、水生生物等の環境への悪影響は免れないだろう。今後の処理対策への大きな課題として、様々な立場の人々の心に残った出来事であったといえる。